<香料製造の化学>

L-メントール合成(例)

1.L-メントール(ハッカ)について
L-メントールは、合成香料生産量では最大です。年間国内生産量は2000〜3000トン。
原料は天然物又は石油いずれでも可能です。
現在に至るまで、コストを見据えて壮大な技術開発が行なわれてきました。    
中間体からは香料の素材となる多数のテルペン化合物が製品化されています。
L-メントール製造には、有機化学における合成技術が濃縮されているといえます。
これからも、これら製品の需要は拡大していくと思われ、更なる新しい技術開発が模索されています。
L-メントールの用途は、医薬、タバコ、貼り薬、チューインガム、歯磨き、キャンディーなどです。
私は、この技術の変遷の真っ只中で、この仕事に関わり、様々な有機合成の経験をしました。    


2.技術の特徴
工業的スケールで世界で初めて不斉反応触媒を使用したのは画期的なことでした。
触媒はBINAPリガンドとロジュウム(Rh)からなる錯体分子触媒で、
目的のL-光学活性体がほぼ100%で選択的に合成できます。
不斉触媒は野依教授他が開発され、この研究に対してノーベル賞が授与されました。


3.合成法の化学式